僕が武雄市図書館でカードを作らないワケ

簡単に言えば、僕はほとんど図書館を利用しないからだ。

 

でも、武雄市図書館になってから、いくつかの講演会は聞いてみたいと思うものがあった。ただ、図書館でやる講演会は、図書館カードがないと聴講できないものばかりだったので、諦めた。

身元を明らかにしてでも聴講したい講演ではなかった、ということも言えるだろう。

 

話がそれた。

図書館カードを作らないもっと大きな理由がある。

武雄市図書館のカードにはTポイント機能がついていることは、誰もがよく知るところだろうが、Tポイント機能なしのカードも選べることはご存知だろうか。

そして、今のところ、Tカード以外を選択しているのは、全体の5%程度ということだ。

市外登録者の割合が増えているのにTカードは減っている - dechnostick's blog http://dechnostick.hatenablog.com/entry/2013/10/07/235214

僕は今Tカードを持っているのだが、極力出さないようにしている。あちこちで出せばTポイントがたまることは承知しているが、自分がどこで何を買ったか、事細かに紐付けされるということがわかってから、出すのをやめた。自意識過剰と言われればそれまでかもしれない。だけど生理的に嫌なものは嫌なのだ。あまりいいたとえではないが、彼女に送るピアスを買って、ファミマでコンドームを買って、さらにどこかのシティホテルに泊まった、翌朝はスタバでモーニング、なんてことが、妻に知られないにしてもCCCに知られたら、やっぱり弱みを握られているような気がして嫌なのだ(僕はそんなことはしないよ)。

また話がそれてしまった。

そこで、Tポイント機能なしの「図書利用カード」を選択したとしよう。

昨年9月30日の集計データであるが、図書館利用登録者数は28229人。

図書館カード利用者(Tポイントなし)が6.1%、市内利用者が39.2%。

単純に計算すると、市内でTカードじゃないカードを作った人は、675人。

おそらく、この人たちは「反市長派」としてラベリングされるだろう。

市長に個人的に攻撃されることは、武雄市ではめずらしいことではない。

https://sites.google.com/site/takeoproblem/0-tong-du-qi-youtoiu-ren-wu/05-dong-henado

市長に敵視されて仕事に影響が出た人もいる。

そういうリスクは、極力負いたくない。

いろんなことを考えると、図書館カードを作るリスクより、作らない不便さのほうが、まだ僕にとっては耐えられるということだ。

自治体通販のこと

2011年11月に武雄市が先導して始まった「FB良品」という自治体通販。

昨年9月に「JAPAN sg」と名前をかえ、昨日からはyahoo!ショッピングでその商品の一部を扱うことになった。

西日本新聞では「販路拡大に向け、そのままヤフーショップングに移転することにした。武雄市などの通販サイトは4月をめどに閉鎖する」と報道されている

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/63559

が、武雄市長は「そんなことはない」とブログで説明している。

http://hiwa1118.exblog.jp/20240993/

 

さてこの自治体通販(名称が一定せずややこしいので今後はこの表記で書きます)、今の武雄市長にとっては、図書館事業の次くらいには成果が上がっている事業という位置づけではなかろうか。そこには大きな開きがありそうだが、今回は見なかったことにしよう。

言うまでもないが、僕は現武雄市政に疑問を持つ一人である。この自治体通販にも、たくさんの疑問があるのだが、今回は2つにしぼってみようと思う。

 

まず1つ目、自治体通販が開始されると聞いたとき、どんな商品がどのような経緯で選ばれるのか、まったく不明だった。結論から言うと、市長が市職員の一人に「自分のセンスでいいからいくつか選ぶように」と指示して選ばれた商品ということだ。

企業にとって、広告宣伝費というのはばかにならない。中小企業ならなおさらだ。自治体通販にのせてもらえるかどうかは、広告を打つのと同じくらいの効果が出る可能性があった。ここで選ばれるかどうかで(多少は)広告費を削減できるかもしれない。それが一人の市職員の嗜好で選ばれるというのは、不公平ではないだろうか?

その後、時が流れ、昨年7月の市報にやっと「出品者募集」の案内がのった。最初の通販品目に選ばれた商品からすると、スタートラインが2年弱遅れたことになる。

売り上げの現状については以下のとおり。

武雄市フェイスブックで通販 年商10億円目指す/佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun :佐賀のニュース http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2079975.article.html

[JAPAN sg、最高の締めくくり(12月の売上げは570万円)] http://hiwa1118.exblog.jp/20163517/ 武雄市長物語より

当初年商10億を目指していたものであるが、2年で月商570万。市長はともかく、参加した企業の方が満足のいく伸びとなっているのかについては、各企業に置ける自治体通販の位置づけによるのでわからないが、2年弱のdisadvantageは、結果的にはあまり問題にならなかったのかもしれない。そこまで市長が先読みしてことを進めたのなら、すばらしい先見の明の持ち主なのではないだろうか。

 

2つ目は「お金は有効に使われているのか」ということだ。

この自治体通販に参加するには、読んで字のごとく自治体が単位となって契約をすることになっている。初期費用は各自治体によってばらつきがあるようで、契約自治体の開示文書によると200-350万となっている。維持費は月15万。

この参加費用は、各自治体の予算、すなわち多くは税金ということになるだろう。

さて、各自治体が払ったお金は、どのように使われているのだろうか。

自治体通販には、株式会社SIIIS、株式会社アラタナという2つの会社が関与していることがわかっている。この2社は何をしてくれているのか。どちらがどのように関わっているのかはわからないが、自治体通販のサイトページを作り運営している、というのは間違いないようだ。

がんばってくれている、と思いたいのだが、ネットサイトに詳しい人や、webデザイナーと呼ばれる方々からすると、この自治体通販のサイトページはかなり出来が悪いと言わざるを得ない、と指摘されている。

僕は素人だから、その指摘がどこを差しているのかわからないことも多い。だけど、実際にサイトを見てみて、つくりの荒さは否めなかったのと、更新頻度がとても遅いので「売ろう!」というやる気が感じられなかった。例えば、売り切れになった商品は、大手のサイトなら「売り切れです」と書いてあるところが、ここでは買い物かごはそのまま出ていて、かごに入れるをクリックするとなぜかエラーページに飛ばされたりした。斬新な作りなのだろうか?

以前、ランキングの更新が遅いとSIIISの代表者にツイッターで意見が出たのだが、自治体通販の協議会からの指示がないとサイト内容を書き換えることができないという返事が出ていた。武雄市長ではないが、今の時代は、特に情報戦においてはスピードは不可欠だろうに、そのような仕事ぶりが許される、ゆるいところもあるのかとうらやましくさえ感じたものだ。

いくらで契約したかは知らないが、月のサイト管理料を15万も出すのなら、もっと販売戦略をきちんと立ててくれる事業所はあると思う。なぜSIIISが選ばれたのか、僕には理解できない。そして、参加した他の自治体の担当者からこういうことに対する意見は出ていないのか、出ていないとしたら、やはり公務員というぬるま湯につかっているのではないかと思う。

 

今回はここまで。

JAPANsgとかについてはまた別の機会に。

武雄市のタブレット導入についての一考察

政府は2020年までにすべての児童生徒に一人1台ずつタブレットを導入するという目標を掲げています。

武雄市はそれに先駆けて、今年4月から市内の小学校のすべての児童に一人1台ずつタブレットを導入することになりました。(中学校は今のところ9月からの予定と聞いています)

導入の経緯については、いろんな方が様々な角度から考察されていますので、素人の僕はここでは言及しないでおきます。

 

さて、今は1月。導入まであと三ヶ月ありません。

タブレット導入について、市民である僕がリーチできたのは、昨年11月に武内小であった公開授業のみ。これとてマスコミ向けであり、直接見た市民は関係者以外にどのくらいいたのでしょうか。

また今月28日には山内東小での公開授業があるそうですが、もし一般市民にも開放されたとしても、僕は仕事で見に行くことが出来ません。(仕事で行けないのに熱心さが足りないからだと言われるとすれば、僕はどうやって食べて行けばいいんでしょうか)

 

僕には小学生低学年の子供がいます。

タブレットが導入されれば、自分の家で買ってやる必要がなくなりいいのではと思いましたが、今回こんな記事を読みました。

授業用タブレット端末は備品?…費用負担で論議

http://www.yomiuri.co.jp/net/news0/national/20131231-OYT1T00237.htm?from=tw

「一方、同県武雄市は新年度、約1億2600万円をかけ、市内の全小学校にタブレット端末約3000台を配備し、児童全員に貸与する。宿題などで教師が必要と認めた場合に限って家庭への持ち帰りを認め、通常は学校で保管する。」

毎日は持ち帰れないんですね。

端末の汚損、破損を防ぐため、という理由だとすれば、それはそれでいいでしょう。

しかし、例えば子供が、かなり先の単元も予習したい!と言っても、それは紙の教科書でしかできないことになりますね。この先デジタル教科書という構想もあるのに、毎日は持ち帰れないというのは、それなりに不便が生じてくる日が来る気がしますね。

教育監の代田氏は「やる気のある子供たち、もっと勉強したい子供たちに応えたい」と熱く語っておられます。多少逆行する印象を持つのは僕だけでしょうか。

また、自分のクラスと隣のクラスで、持ち帰り日が異なる可能性もありますね。担任の個性で授業の進捗が変わるのは、今も昔も将来も変わりはないと思いますが、担任がタブレットを使いこなせるかどうかでずいぶん違いが出そうです。

僕は幸い現場の先生方と懇談する機会をときどき持っています。今回のタブレット導入についての話もしますが、「実際のところ自分たちにもまだわからないことが多くてね」としか話が出てきません。あと三ヶ月弱で、どのくらいのところが明らかになって行くのでしょうか。実際にスタートしなければわからないことも多いでしょう。しかし、ここに書いたことは僕がかかえる疑問のごく一部です。まだまだ聞きたいことはたくさんあります。そのような状態で号砲を鳴らされても、効率的にことを進めるのは難しいと思います。(実際僕の周りには、いつから導入されるのかを知らない保護者も少なくありません)

 

タブレット導入が決まってからの歩みが見えて来ないのが非常に気になります。

スピード重視の武雄市長が、そんなに悠長に構えているわけではないと思うし、教育に命をかけると公言されているので、児童生徒はもちろん、保護者にも、落ちこぼれが出ないよう、すべての市民を余すところなく引っかけながら運用していってほしいと願っています。